誰かに話すと全てが始まる

起業を決意した日から、寝ても覚めても自分の会社のこと、新しいサービスのことを考える日々が始まった。

 

勉強用のノートを一冊作り、読んだ本の内容や雑誌・新聞の記事を切り貼りし、知識と情報を詰め込む。詰め込んだ知識と情報を頭の中でこねくり回し、 何度も何度も、まだ見ぬサービスを妄想する。ある日にはそのサービスが凄くうまくいきそうな気がする。が、その次の日には一転、色褪せて見える。

 

頭の中で浮かんだどんな素晴らしいアイデアも、声に出したり、紙に書いたりして形にすると、陳腐なものに見える。アイデアは、ウィルスのように、空気に触れるとたちどころに腐ってしまう。しかしどうやら、起業するという行為はイデアが生まれては腐っていく様を何万回と繰り返し体験することのようだ。

 

そんなことだから、精神は非常に不安定になる。アイデアが光り輝いている間は"うまくいきそうだ"という強気な自分がやってくるし、腐ってしまえば"やっぱりだめかもしれない"という弱気な自分が顔をのぞかせる。"起業しよう"という思いは存外脆く、儚い。